地域社会学
私たちの生活や人生は,さまざまなスケールにおける「地域」という制約から自由であることはありえない。この講義では,「地域」(中央/地方,都市/農村,国内外を問わない)というパースペクティブから,現代社会の諸課題について多角的に考察する。具体的には,以下の三つの大テーマに沿って,七つの小テーマを順に扱う。
(1)私たちにとって,「地域」とは何か。「地域」の定義や存在意義,あるいは「地域」特性の差異を捉える視点について考察し,この講義の問題意識を明確にする。(テーマ1)
(2)近年のマクロな社会変動(グローバリゼーション,少子高齢化,消費社会化,そしてウェブ社会化)のなかで,「地域」的な差異を伴いながら現れている社会現象をどう捉えればよいのか。この問題を,「地域間格差」(テーマ2),「地域間移動」(テーマ3),「産業/労働」(テーマ4)という三つの角度から考察する。
(3)私たちは,どのような「地域」のあり方を望ましいと考えるのか。ここでは,経済規模拡大が困難な中での「地域開発」の方向性(テーマ5),人口減少社会に対応した「縮小社会」のデザイン(テーマ6),コミュニケーション環境が変化する中での「地域社会(コミュニティ/ネットワーク)」の(再)構築(テーマ7)という三つの論点を取り上げ,それぞれに考察を深める。