社会調査士


社会学科では、「実証研究を通じた理論化」という方針で学生の研究を指導します。そこでは、調査を通して集められたデータの分析能力のみならず、自ら調査を実施できるためのスキルと知識が必要になります。世論調査、市長調査や意識調査といったさまざまな社会調査や統計データの重要性が増している現代社会において、調査と分析方法の正しい知識とスキルを身に着けるためには、社会調査士制度があります。社会学科では、この制度で求められているカリキュラムを設置し、積極的に社会調査ができる人材の育成に励んでいます。

社会調査士というのは、特定のカリキュラムを履修して大学を卒業した上で獲得できる資格制度です。標準カリキュラムは、調査企画から報告書の作成まで、調査の全過程を量的調査と質的調査の両側面からカバーする制度です。具体的には、以下のA~G科目から6つ以上(E・Fは選択)を履修することによって、調査の理論、倫理、実施法から、分析方法を通して、実際に調査を実施するまで、社会調査の基本的な知識とスキルを獲得することができます。

  • A: 「社会調査入門」—社会調査の基本的事項に関する科目
  • B: 「社会学研究法A」—調査設計と実施方法に関する科目
  • C: 「社会学概論」—基本的な資料とデータの分析に関する科目
  • D: 「社会統計学Ⅰ」—社会調査に必要な統計学に関する科目
  • E: 「社会統計学Ⅱ」—量的データ解析の方法に関する科目
  • F: 「社会学研究法B 」—質的な分析の方法に関する科目
  • G: 「社会調査実習」—社会調査の実習を中心とする科目

2003年11月に社会調査士資格認定機構が発足しましたが、社会学科提供科目は社会調査士資格申請科目として認められており、2008年度卒業生では27名の学生が社会調査士資格を取得しました。これは全国的にみても多い資格取得者数です。元来、同志社大学社会学科では社会調査に関する科目が充実しており、多くの学生が本格的な社会調査を実習で経験し、調査技術を身につけて卒業しています。調査設計、データ分析、結果の解釈などを身につけた社会調査士は、今後、メディア関係、自治体、シンクタンク、企業など、企画、調査を行う部署で活躍することが予想されます。社会学科の教員は全員が社会調査の専門家で、本格的な指導体制が整っています。

参照:社会調査協会